訪問看護サービスの提供に必要な「訪問看護指示書」


こんにちは。タツミ訪問看護ステーション長津田の古藤です。

本日は、訪問看護サービスの提供に必要な「訪問看護指示書」についてお話したいと思います。

これから訪問看護師として活躍される看護師のお役に立てるようまとめましたので参考にしてもらえれば光栄です。

訪問看護は、ステーションに所属する訪問看護師等が療養生活を送っている方のご自宅に訪問して看護ケアを行うサービスです。

訪問看護師は、ご本人やご家族の思いに沿った在宅療養生活の実現に向けて、専門性を発揮し、健康の維持・回復等、生活に質の向上(QOLの向上)ができるように、予防から看取りまで支えます。

看護ケアの内容はバイタルサインのチェック、心身の健康状態や障がいの状態観察、食事・排泄介助、服薬管理、リハビリテーション、療養生活のアドバイス、状態に応じた助言や緊急対応、予防的支援などを行います。

さらに、医療的ケアが必要な重度の方に対しては、主治医と連携し、医療処置や医療機器の管理・指導も行い、最後まで、その人らしく尊厳のある生活を送ることができるように支援するなど多岐にわたります。  

主治医による訪問看護指示書の種類について

この多岐にわたる訪問看護ケアを、介護保険や医療保険を利用して受けるには、主治医による訪問看護指示書の交付が必要です。

訪問看護指示書は通常使用のものと、特別な時に交付されるものなど、ご利用者の状態や訪問看護の処置内容でいくつかの種類があります。

(1)通常の訪問看護指示書

まず、通常使用される訪問看護指示書について、交付で受けられる訪問看護サービスの有効期間や回数、交付の流れ、内容について解説します。

公的保険の介護保険と医療保険を利用して訪問看護サービスを受けるには、主治医が交付する訪問看護指示書が必要になります。

基本となるのが、通常の訪問看護指示書で有効期限は、主治医が発行後、6ヶ月となります。

医療保険の通常の訪問看護指示書について

医療保険の訪問看護指示書適用の対象となる訪問看護は、週3回までの利用となります。

期間が来てご利用者やご家族が訪問看護の継続を希望する場合には、訪問看護ステーションの看護師から再度主治医に交付を依頼します。

主治医は、ご利用者の診断結果と、訪問看護師から提出された訪問看護計画書と訪問看護報告書をもとに、訪問看護の継続の必要性を判断します。

介護保険の訪問看護指示書について

介護保険を利用して訪問看護サービスを受けるには、要介護・要支援認定を受けたうえで、ケアマネジャーが作成するケアプランに訪問看護が組み込まれることが要件となります。

そのうえで、ケアマネジャーから主治医に訪問看護指示書の発行を依頼し交付を受けます。

訪問看護指示書が交付されたらケアプランで設定された利用回数の訪問看護サービスを受けることができます。

訪問看護指示書の内容

訪問看護指示書には次のような項目が記載されます

・指示期間
・基本情報(氏名・生年月日・住所・電話番号)
・主たる傷病名
・現在の状況(病状、治療の状態・投与中の薬剤の用量と用法・日常生活自立度・要介護認定の状況・褥瘡の深さ・装着・使用医療機器等)
・留意事項及び指示事項(療養生活指導上の留意事項・リハビリテーション・褥瘡の処置・使用医療機器等の操作援助・管理)
・緊急時・不在時の連絡先
・特記すべき留意事項(薬の相互作用・副作用についての留意点、薬物アレルギーの既往・定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービス利用時の留意事項等)
・医療機関名、医師名

(2)特別訪問看護指示書について

特別訪問看護指示書は、ご利用者の急性増悪や退院直後、頻回の訪問看護が必要になった場合に交付されます。

特別訪問看護指示期間中の訪問看護は医療保険での対応になります。

※介護保険対象のご利用者の場合、特別訪問看護指示が交付されることで、医療保険による訪問看護に切り替わります。

尚、特別訪問看護指示書による訪問看護は、上述の通常の訪問看護指示書が交付されていることが前提条件となります。

特別訪問看護指示書が発行される対象は、急性感染症等の急性増悪時、末期の悪性腫瘍等以外の終末期、退院直後で週4日以上の頻回な訪問看護の必要を認められた方で基本的に月 1 回の交付となり、最長14日間です。

また、気管カニューレを使用している、あるいは、真皮を超える床ずれのある方の特別訪問看護指示書は月2回まで交付受けることが可能です。

月2回交付されるケースでは、医療保険を利用してほぼ毎日訪問看護が受けられます。

(3)在宅患者訪問点滴注射指示書について

「在宅患者訪問点滴注射指示書」は週3日以上の点滴注射を行う必要がみとめられた方に、訪問看護ステーションに対して指示を行う場合に交付します。
(書式は【上記(1)(2)】と共通です)

ご利用者おひとりにつき週1回(指示期間7日以内)に限り月に何回でも交付できます。

必要に応じ毎日、点滴の指示が出されることもあります。

(4) 精神科訪問看護指示書について

「精神科訪問看護指示書」は精神科がある医療機関の精神科の保険医が診療に基づき、訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。

1ヶ月の指示を行う場合には、精神科訪問看護指示書に有効期間を記載する必要はありません。

また、共同生活援助事業所に入所する精神障害を有する複数のご利用者に対しても精神科訪問看護指示書の交付により、訪問看護ステーションからの訪問看護ができます。

(5) 精神科訪問看護特別指示書について

ご利用者が服薬中断などにより精神疾患が急性増悪したなどで、主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要であると認めた場合に交付されます。指示期間は14日までとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

訪問看護は、在宅療養生活の方に公的保険の介護保険や医療保険を使って、症状や状態に合わせて適切に利用してもらうことができるサービスです。

訪問看護師は、主治医と連携して適切に訪問看護指示書を活用してご利用者の在宅療養生活を支えているのです。

本日の内容がこれから訪問看護を目指す看護師の知識の一助になればうれしいです。

Follow me!