訪問看護ステーションの「オンコール」とは


こんにちは。タツミ訪問看護ステーション長津田の古藤です。

訪問看護ステーションの勤務を目指す看護師が、わかりにくく不安に思っている仕事にオンコールがあるようです。

そこで本日は、訪問看護ステーションのオンコールについて説明したいと思います。

オンコールとは何か

在院日数が短縮され、退院後の療養生活を支援する訪問看護の重要性や需要が高まっています。

そのような中、訪問看護ステーションはご利用者の急変や緊急時などに備えて、24時間365日緊急対応ができるよう体制を整えていく必要があります。

この緊急対応のことを「オンコール」と呼んでいます。

~24時間365日緊急対応ができる訪問看護師のオンコール対応とは~

病棟勤務の看護師には、2交代や3交代制で夜勤があります。

訪問看護では、夜勤はありませんが24時間365日、緊急時に電話で対応ができるよう待機します。

この電話で対応できるよう待機することをオンコールといいます。

オンコール待機の訪問看護師は、病院の夜勤のように決めれた場所に詰める必要はなく、多くは自宅などで日常生活をして、電話がかかってきたときに対応できるようにします。

~オンコール対象のご利用者とは~

オンコールは、訪問看護のご利用者のうち、定期的な訪問以外で体調の変化が生じた際にいつでも訪問看護師に連絡することができ、必要な場合には緊急訪問を要請できるサービスを希望する方を対象として提供します。

次のような保険が適用されますが、利用料金の1部(1割~3割)は利用者が負担しますので、オンコールのサービスを希望されるご利用者には、必要性と緊急連絡方法を説明し、同意を得る必要があります。

~オンコールの公的保険の仕組みは~

オンコールは、訪問看護サービスのオプションの介護保険や医療保険の算定保険上の加算として位置づけられており、訪問(営業)時間外のご利用者への対応のために決められた加算の仕組みとして、保険請求することができます。

加算の種類は、介護保険における「緊急時訪問看護加算」と、医療保険における「24 時間対応体制・連絡体制加算」となります。

下記がそれぞれの内容です。

【介護保険における「緊急時訪問看護加算」】

<要件>利用者やその家族からの相談や連絡に24時間対応することができる体制であること 

<単位(料金)>574単位/1月(1単位10円×地域加算)

【医療保険における「24 時間対応体制・連絡体制加算」】

<要件>利用者やその家族から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常
時対応できる体制を整えていること 
<料金>6,400円/月

上記要件にあるように、連絡が取れる体制であることが加算の要件ですので、電話の有無にかかわらず、加算として月単位で保険請求することができます。

訪問看護ステーションのオンコール体制や緊急訪問の状況

それでは、訪問看護ステーションでオンコール体制を取っている割合はどれくらいなのか、同意しているご利用者や緊急訪問をするケースはどの程度なのかについて、厚生労働省の介護給付費分科会の資料を基にお伝えします。

下記の円グラフは、訪問看護ステーションのうちオンコールの加算である「緊急時訪問看護加算(介護保険)」と「24 時間対応体制・連絡体制加算」(医療保険)の届け出をしている事業所の状況と、オンコール加算を合意しているご利用者の状況を表しています。

参照元:厚生労働省「社保審-介護給付費分科会 参考資料

また、オンコール加算を合意しているご利用者へ、緊急訪問をした状況も表されています。

オンコール加算の届け出は、約8割の事業所が実施しています。

また、介護保険と医療保険の利用者において、どちらも約半数はオンコール加算に同意しています。

オンコール加算に合意している介護保険と医療保険のご利用者のうち、実際に緊急訪問した割合はいずれも14%となっています。

オンコールの適切な対応のために事前に行うこと

ご利用者やご家族にとって、オンコールでの適切な対応は大きな安心につながります。

また看護師にとっても、事前の準備行動は負担の軽減につながります。

そこで、オンコールの適切な対応や、負担軽減のために事前に行うことを2点解説します。

(1)ステーションスタッフ間の事前の情報共有

オンコールの可能性があるご利用者については、日中のうちにスタッフ間で、状態や症状などの情報を事前に共有します。

そうすることで、急変時にすべきことを前もって把握しやすく、突発的な夜間の緊急対応の負荷を軽減ことができます。

(2)医療機関との連携

急変が予想されるご利用者については、日中のうちに担当の医師にへの情報共有および相談を行います。

そうすることで、医師の判断により状況に合わせて薬が複数処方するなど、急変を回避することもできるケースもあります。

結果として、ご本人やご家族の不安解消やスムーズで適切な医療サービスの提供につながります。また、看護師の負担軽減にもつながります。

まとめ

いかがでしょうたでしょか。

在宅で療養するご利用者やご家族にとって、夜間や休日に体調に変化があった際に相談できるオンコールというシステムはとても心強いものです。

在宅療養のニーズの多様化に伴い、多くの訪問看護ステーションにおいてオンコールが導入されており、重要な役割を担っています。

もちろん訪問看護未経験の看護師が、オンコールの仕事をひとりで担うことはありません。

はじめは、補助役として行って少しづつ経験を積み上げていきます。

また、オンコールの電話が鳴ったからといって、必ず利用者のもとを訪問しなければならないわけではありません。

事前共有などをしっかりと行うことで、多くの場合はご利用者やご家族からの相談に電話で対応し、翌日や定期訪問時に確認や対面対応を行います。

訪問看護ステーションの勤務を目指す看護師が、オンコールへの不安を減らして訪問看護にチャレンジしてもらえたらうれしいことです。

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